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iDempiere 取引先別取引情報の使い方|取引先管理 操作マニュアル・技術仕様

📖 取引先管理の全体像: 取引先管理の全体図 も合わせてご覧ください。

取引先別取引情報(Business Partner Info)は、1 つの取引先に関するすべての伝票を 1 画面で横断照会するためのウィンドウです。取引先を 1 件選ぶだけで、その相手との受注・出荷・請求・入金・資産・リクエストがタブ切り替えで一覧できます。

📌 ポイント: このウィンドウは照会(インフォメーション)目的の画面です。伝票の起票や完了処理は各業務ウィンドウで行い、ここでは「この取引先と今どうなっているか」を素早く把握する用途に使ってください。問い合わせ電話への即答や与信判断の初動確認に有効です。

取引先別取引情報でできること

Section titled “取引先別取引情報でできること”
  • 取引先 1 件を選んで、関連するすべての伝票を横断的に確認する
  • 受注伝票の伝票状態・納品予定日・総合計を一覧する
  • 出荷(入出荷伝票)の移動日付・移動タイプ・検討中フラグを確認する
  • 請求伝票の入金済みフラグ・検討中フラグ・総合計を確認する
  • 入金支払伝票の支払金額・割引金額・回収不能額を確認する
  • 当該取引先に紐付く資産(シリアル番号・保証日付)を確認する
  • 未クローズのリクエスト(問い合わせ・クレーム)の優先度と次回対応日を確認する
  • 親タブで債権債務残高(TotalOpenBalance)を見て、与信状況を把握する

親タブ 1 つに対して、6 つの子タブがすべて同じ階層(レベル 1)でぶら下がるフラットな照会構造です。

タブ名テーブル項目数役割
取引先C_BPartner12項目対象取引先の選択(区分フラグ・債権債務残高)
注文情報C_Order30項目当該取引先の受注・発注伝票
出荷情報M_InOut13項目当該取引先の入出荷伝票
請求情報C_Invoice15項目当該取引先の請求伝票
支払情報C_Payment17項目当該取引先の入金・支払伝票
資産情報A_Asset12項目当該取引先に紐付く資産
リクエストR_Request18項目当該取引先からのリクエスト
graph TD
    P["👤 取引先<br/>C_BPartner<br/>12項目"]
    P --> T1["🛒 注文情報<br/>C_Order<br/>30項目"]
    P --> T2["🚚 出荷情報<br/>M_InOut<br/>13項目"]
    P --> T3["🧾 請求情報<br/>C_Invoice<br/>15項目"]
    P --> T4["💴 支払情報<br/>C_Payment<br/>17項目"]
    P --> T5["🏭 資産情報<br/>A_Asset<br/>12項目"]
    P --> T6["📮 リクエスト<br/>R_Request<br/>18項目"]

取引先 C_BPartner 12項目 注文情報 C_Order 30項目 出荷情報 M_InOut 13項目 請求情報 C_Invoice 15項目 支払情報 C_Payment 17項目 資産情報 A_Asset 12項目 リクエスト R_Request 18項目

💡 ヒント: 子タブはすべて親と同じ階層に並ぶため、タブを切り替えても選択中の取引先は保持されます。1 社について「注文 → 出荷 → 請求 → 入金」の流れを順に追う使い方がしやすくなっています。

graph TD
    A["🚀 メニューから開く<br/>取引先管理 > 取引先管理セットアップ<br/>> 取引先別取引情報"] --> B["🔍 取引先タブで対象を検索<br/>(検索キー・名称)"]
    B --> C["💰 債権債務残高を確認"]
    C --> D{"何を調べたいか"}
    D -->|受注状況| E["🛒 注文情報タブ<br/>伝票状態・納品予定日を確認"]
    D -->|納品状況| F["🚚 出荷情報タブ<br/>移動日付・検討中を確認"]
    D -->|請求・入金| G["🧾 請求情報タブ<br/>入金済みフラグを確認"]
    G --> H["💴 支払情報タブ<br/>入金額・割引・回収不能額を確認"]
    D -->|保守・保証| I["🏭 資産情報タブ<br/>シリアル・保証日付を確認"]
    D -->|問い合わせ履歴| J["📮 リクエストタブ<br/>優先度・次回対応日を確認"]

メニューから開く 取引先管理 > 取引先管理セットアップ > 取引先別取引情報 取引先タブで対象を検索 (検索キー・名称) 債権債務残高を確認 何を調べたいか 注文情報タブ 伝票状態・納品予定日を確認 出荷情報タブ 移動日付・検討中を確認 請求情報タブ 入金済みフラグを確認 支払情報タブ 入金額・割引・回収不能額を確認 資産情報タブ シリアル・保証日付を確認 リクエストタブ 優先度・次回対応日を確認 受注状況 納品状況 請求・入金 保守・保証 問い合わせ履歴

アクセス方法(メニューパス)

Section titled “アクセス方法(メニューパス)”

メニューから「取引先管理 > 取引先管理セットアップ > 取引先別取引情報」を開きます(AD_Window_ID: 291)。

  1. 取引先」タブで対象を検索します
    • 検索キー(Value または 名称(Name で絞り込みます
    • 取引先グループ得意先/仕入先/社内担当者/従業員 の区分フラグで相手の性質を確認します
    • 債権債務残高(TotalOpenBalance で未決済残高を確認します
  2. 調べたい内容に応じて子タブへ移動します
  3. 各タブで伝票状態(DocStatus)や日付を確認します
  4. 詳細を修正する必要がある場合は、該当する業務ウィンドウを開いて作業します(本画面は照会用途)

⚠️ 注意: 本画面には伝票アクション(DocAction)のフィールドが含まれていないため、ここから伝票の完了・取消はできません。伝票処理は 受注伝票売上請求伝票入出金管理などの各ウィンドウで行ってください。

項目リファレンス(主要タブ)

Section titled “項目リファレンス(主要タブ)”
項目名必須説明
検索キー必須文字列取引先コード(一意)
名称必須文字列取引先名
説明-文字列補足説明
取引先グループ必須選択取引先の分類グループ
債権債務残高-金額基軸通貨換算の未決済残高
得意先必須チェック得意先として扱うか
仕入先必須チェック仕入先として扱うか
社内担当者必須チェック社内担当者(エージェント)か
従業員必須チェック従業員として扱うか
有効必須チェックレコードが有効か
項目名必須説明
伝票番号必須文字列受注・発注の伝票番号
伝票タイプ必須選択伝票種別
伝票状態必須リストドラフト/完了/取消等
注文日付必須日付受注日
納品予定日必須日付約束した納品日
販売(ON) / 購買(OFF)必須チェック販売取引かどうか
出荷ルール必須リスト出荷タイミングの規則
請求ルール必須リスト請求のタイミング・方法
社内担当者必須選択担当営業
支払条件必須選択適用される支払条件
明細行合計必須金額明細合計(税抜)
総合計必須金額伝票総額
項目名必須説明
伝票番号必須文字列請求伝票番号
伝票状態必須リストドラフト/完了/取消等
請求日付必須日付請求書に印字される日付
入金済み必須チェックON=回収済み、OFF=未回収
検討中必須チェック係争中・保留中の伝票か
通貨必須選択請求通貨
総合計必須金額請求総額
受注伝票-検索元の受注伝票への参照
項目名必須説明
リクエストタイプ必須選択問い合わせ・クレーム等の分類
伝票番号必須文字列リクエスト番号
ステータス-選択現在のステータス
優先度必須リスト高/中/低
ユーザー優先度-リスト依頼者側の優先度
サマリ必須テキスト内容の要約
最新実行日-日時最後に対応した日時
期限タイプ必須リスト次回対応の状態区分
次回対応日付-日時次に対応すべき日時

全項目一覧はリファレンス参照

取引先を軸にしたデータの広がり

Section titled “取引先を軸にしたデータの広がり”
graph TD
    A["取引先<br/>C_BPartner"] --> B["受注・発注<br/>C_Order"]
    B --> C["出荷・入荷<br/>M_InOut"]
    B --> D["請求<br/>C_Invoice"]
    C --> D
    D --> E["入金・支払<br/>C_Payment"]
    C --> F["資産<br/>A_Asset"]
    A --> G["リクエスト<br/>R_Request"]
    E --> H["債権債務残高<br/>TotalOpenBalance"]
    D --> H

取引先 C_BPartner 受注・発注 C_Order 出荷・入荷 M_InOut 請求 C_Invoice 入金・支払 C_Payment 資産 A_Asset リクエスト R_Request 債権債務残高 TotalOpenBalance

シーン見るタブ注目する項目
顧客から納期問い合わせ注文情報 → 出荷情報納品予定日、伝票状態、移動日付
与信判断の初動確認取引先 → 請求情報債権債務残高、入金済みフラグ、検討中
入金消込の事前確認請求情報 → 支払情報総合計、御支払金額、割引金額、回収不能額
保守・保証の問い合わせ資産情報シリアルNo、使用開始日付、保証日付
クレーム対応の履歴確認リクエストステータス、優先度、最新履歴情報、次回対応日付

Q. この画面から伝票を完了できますか?

Section titled “Q. この画面から伝票を完了できますか?”

できません。本ウィンドウには伝票アクション(DocAction)のフィールドが配置されていないため、参照される伝票状態(DocStatus)は表示専用です。伝票処理は各業務ウィンドウで行ってください。

Q. 「検討中(IsInDispute)」とは何ですか?

Section titled “Q. 「検討中(IsInDispute)」とは何ですか?”

伝票が係争中・保留中であることを示すフラグです。出荷情報タブと請求情報タブの両方にあり、ON になっている伝票は「相手と内容の合意が取れていない」状態を意味します。督促や消込の対象から外す判断材料になります。

Q. 債権債務残高(TotalOpenBalance)はいつ更新されますか?

Section titled “Q. 債権債務残高(TotalOpenBalance)はいつ更新されますか?”

C_BPartner.TotalOpenBalance は基軸通貨換算での未決済残高で、請求・入金の処理に伴って更新されます。リアルタイムの正確な残高が必要な場合は、請求情報タブと支払情報タブを合わせて確認してください。

Q. 出荷情報タブに「移動タイプ(MovementType)」がありますが、これは何ですか?

Section titled “Q. 出荷情報タブに「移動タイプ(MovementType)」がありますが、これは何ですか?”

在庫の移動方法を示す区分で、出荷(顧客への出庫)と入荷(仕入先からの入庫)を区別します。同じ M_InOut テーブルが出荷と入荷の両方を扱うため、この項目で方向を判別します。

Q. 資産情報タブに何も表示されません

Section titled “Q. 資産情報タブに何も表示されません”

その取引先に紐付く資産(A_Asset)が登録されていません。資産は通常、出荷や請求の処理から自動生成されるか、資産管理で手動登録されます。

Q. リクエストタブに機密情報のリクエストが表示されません

Section titled “Q. リクエストタブに機密情報のリクエストが表示されません”

リクエストタイプ側で機密レベル(ConfidentialType)が設定されている場合、ユーザーの権限によっては閲覧が制限されます。リクエストタイプの機密設定を確認してください。

🛠 技術仕様(開発者向け)

取引先別取引情報(AD_Window_ID: 291)は照会型のウィンドウで、親タブ C_BPartner に対して 6 つの子タブ(C_Order / M_InOut / C_Invoice / C_Payment / A_Asset / R_Request)がすべて階層レベル 1 で並列に配置されています。

このウィンドウ固有のモデルクラスは存在しません。 各タブは既存の業務テーブルを参照するため、ロジックはそれぞれの M クラス(MBPartner 1,043行、MOrderMInOutMInvoiceMPaymentMAssetMRequest 1,208行)に委譲されます。ウィンドウ側では伝票アクションのフィールドを持たないため、伝票処理は実行できません。

classDiagram
    class MBPartner {
        +get(ctx, C_BPartner_ID)$ MBPartner
        +getTotalOpenBalance() BigDecimal
        +isCustomer() boolean
        +isVendor() boolean
        +isEmployee() boolean
        +isSalesRep() boolean
    }
    class MOrder {
        <<DocAction>>
    }
    class MInOut {
        <<DocAction>>
    }
    class MInvoice {
        <<DocAction>>
    }
    class MPayment {
        <<DocAction>>
    }
    class MAsset {
    }
    class MRequest {
    }
    MBPartner --> MOrder : orders
    MBPartner --> MInOut : shipments
    MBPartner --> MInvoice : invoices
    MBPartner --> MPayment : payments
    MBPartner --> MAsset : assets
    MBPartner --> MRequest : requests

+get(ctx, C_BPartner_ID)$ MBPartner +getTotalOpenBalance() BigDecimal +isCustomer() boolean +isVendor() boolean +isEmployee() boolean +isSalesRep() boolean <>

パッケージ: org.compiere.model 主なソースファイル: org.adempiere.base/src/org/compiere/model/MBPartner.java(1,043行)、MRequest.java(1,208行)

カラム名必須説明備考
C_BPartner_IDIDPK取引先ID主キー
ValueStringY検索キー一意コード
NameStringY名称
DescriptionStringN説明
C_BP_Group_IDTableDirectY取引先グループ会計設定の基準
TotalOpenBalanceAmountN債権債務残高基軸通貨換算
IsCustomerYesNoY得意先
IsVendorYesNoY仕入先
IsSalesRepYesNoY社内担当者
IsEmployeeYesNoY従業員
IsActiveYesNoY有効
タブテーブル状態を示す主要カラム金額系カラム
注文情報C_OrderDocStatus, DeliveryRule, InvoiceRule, IsSOTrxTotalLines, GrandTotal
出荷情報M_InOutDocStatus, MovementType, IsInDispute(金額なし)
請求情報C_InvoiceDocStatus, IsPaid, IsInDisputeGrandTotal
支払情報C_PaymentDocStatus, IsPrepayment, IsDelayedCapturePayAmt, DiscountAmt, WriteOffAmt
資産情報A_AssetAssetServiceDate, GuaranteeDate(金額なし)
リクエストR_RequestR_Status_ID, Priority, DueType(金額なし)
erDiagram
    C_BPartner ||--o{ C_Order : "orders"
    C_BPartner ||--o{ M_InOut : "shipments"
    C_BPartner ||--o{ C_Invoice : "invoices"
    C_BPartner ||--o{ C_Payment : "payments"
    C_BPartner ||--o{ A_Asset : "assets"
    C_BPartner ||--o{ R_Request : "requests"
    C_Order ||--o{ M_InOut : "fulfilled by"
    C_Order ||--o{ C_Invoice : "billed by"
    C_Invoice ||--o{ C_Payment : "settled by"
    R_Request }o--|| R_RequestType : "typed as"

fulfilled by billed by settled by typed as

このウィンドウ自体には固有のビジネスロジックがありません。表示されるデータは、各テーブルの標準的な保存・伝票処理ロジックによって生成されたものです。

子タブは AD_Tab の WhereClause および親子リンクカラム(C_BPartner_ID)によって、選択中の取引先のレコードのみに絞り込まれます。「注文情報」タブは販売・購買の両方(IsSOTrx は表示項目として存在)を含みます。

読み取り専用としての位置づけ

Section titled “読み取り専用としての位置づけ”
制約内容
伝票アクションDocAction フィールドが配置されていないため、ここから完了・取消は不可
明細タブ受注明細・請求明細のタブは無く、ヘッダーレベルの照会のみ
参照先実データの編集は各業務ウィンドウで行う設計

📌 ポイント: 同じ「取引先を軸にした照会」でも、担当者(エージェント)別取引情報(AD_Window_ID: 293)は明細レベル(C_OrderLine / C_InvoiceLine)まで階層を持ちます。用途に応じて使い分けてください。

拡張ポイント(カスタマイズ箇所)

Section titled “拡張ポイント(カスタマイズ箇所)”

このウィンドウに独自の照会タブ(例: 見積提案の履歴、サポート契約)を追加する場合は、AD 上で AD_Tab を新規作成し、親テーブル C_BPartner へのリンクカラムを指定します。ソースコードの改変は不要です。

既存タブに項目を追加する場合は、AD_Field を追加してタブに紐付けます。この方式ならバージョンアップ時の影響を最小化できます。

OSGi Model Validator による閲覧制御

Section titled “OSGi Model Validator による閲覧制御”

機密性の高い取引先の情報表示を制限したい場合、ModelValidatorTYPE_BEFORE_* ではなく、ロールのデータアクセスルール(Record Access / Data Access)で制御するのが標準的です。プログラム制御が必要な場合は、IColumnCallout や独自の Info Window を用意する方式を検討します。

public class CustomBPartnerInfoValidator implements ModelValidator {
@Override
public String docValidate(PO po, int timing) {
// 例: 取引先の与信超過を請求完了前にチェック
if (po instanceof MInvoice && timing == TIMING_BEFORE_COMPLETE) {
MInvoice inv = (MInvoice) po;
MBPartner bp = MBPartner.get(inv.getCtx(), inv.getC_BPartner_ID());
// bp.getTotalOpenBalance() と与信限度を比較して制御
}
return null;
}
@Override
public int modelChange(PO po, int type) throws Exception {
return null;
}
}

Info Window(情報ウィンドウ)による代替

Section titled “Info Window(情報ウィンドウ)による代替”

より柔軟な検索・集計が必要な場合は、AD の Info Window 機能で独自の SQL ベース照会画面を定義できます。取引先を軸にした複数テーブルの結合集計は、Info Window の方が実装しやすいケースがあります。

このウィンドウに紐付く標準プロセスはありません(純粋な照会画面です)。


取引先を軸にした横断照会は、営業・サポート・与信管理のいずれでも起点になる機能です。 自社が見たい指標を並べた専用の照会タブや Info Window の追加は、AD 定義とプラグインの組み合わせで安全に実現できます。

As-Link株式会社では、OSGiプラグインによる安全なカスタマイズを提供しています。

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